かわいい赤鬼たちが3日、高知市内のアーケード街に現れ、買い物客に節分の豆をプレゼントしました。鬼に扮したのは高知女子大の学生グループ「エスコーターズ」。そう、日曜日ごとに赤い帽子・ベスト姿で通りを掃除して歩く、あのお嬢さんたちです。 より楽しいハプニングをと、道化役まで買って出たのです。子供たちは街角からひょっこり顔を出す赤鬼に大はしゃぎ。じゃれあったり、一緒にカメラに収まったり。ディズニーランドやUSJで見かける、ああした光景でした。 商店街はいま厳しい不況のまっただ中。中国などから安価な商品が押し寄せ、価格競争で苦戦を強いられっ放し。品ぞろえでは量販店に太刀打ちできず、昨今は設備投資もままならない状況です。 「しかし、サービス競争なら勝負できるはず」。商工会議所などが再活性化へ知恵を絞った結果がこのエスコーターズ事業、つまり、街中への女子学生グループ起用だったのです。 見事な着想、感心します。だれしも若い女性から笑顔で声を掛けられれば悪い気はしないもの。腕づくでも客を引こうと目をギラつかせるどこかのオバサンとは違い、人当たりがさわやかです。 「美しく、楽しい街にしたくて」と口をそろえるメンバーたち。商店街に新しいコミュニティー感覚をもたらす親善使節のようにも見え、商店主たちにも等しく好感されているようです。 発足は昨年4月。街づくり機関「高知TMO事業推進委員会」の呼び掛けに応じた同女子大のグループ7人でスタート、その後増えて現在17人が登録しています。 日曜日になると4、5人ずつに別れ、帯屋町、はりまや橋など市中心部の商店街へ出向き、掃除のほか、店への客案内▽商店街情報誌の配布▽放置自転車の整理▽障害者の介助など、さまざまなサービスを実行します。 最近では、駐輪場利用率調査やたばこポイ捨て調査、さらにはタウンマップ作りまで手掛け、商店街のイベントには必ず参加しています。地元テレビ・ラジオ番組にも登場し、街のマスコット的存在となった感さえあります。 メンバーらは一応日当をもらい、多くは「いい経験」「昼食代をもらって、おいしい店探しもできる」と、楽しんでいる様子。そんな彼女らに、何人かの商店主は「これからの商店街はどうあるべきだと思う?」とアドバイスまで求めるそうです。さっそうとした姿に先進性を見るのでしょう。 橋本大二郎知事も自身のメールマガジンで「エスコーターズの輪が広がれば街が変わる、そんな予感がする」と述べています。 不況の街に響くエスコーターズの「福は内」。その明るく澄んだ声を聞くにつけ、私も同じような予感がしてなりません。 【高知支局長・北川達之】 |